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      OPTEST 未来学研究室へようこそ


          低成長がもたらす資本主義と民主主義の危機が迫るなか
          日本未来学会はいま暗黒のかなたに一筋の光明を見出した。


U、夢と消えた脱工業化社会

1、夢の脱工業化社会
社会学者ダニエル・ベルがバラ色の未来として「脱工業化社会の到来」1962を唱えた。
以来、それはどのような社会なのかと各方面から議論が湧き立った。
文明生態学者の梅棹忠夫は「情報産業化」1963と言い、
日本未来学会長の林雄二郎は「情報化社会」1969と言い、
社会生態学者のピーター・ドラッカーは「断絶の時代」1969と言い、
未来学者のアルビン・トフラーは「第3の波」1980と言って夢ある未来を描いて見せた。

しかし何時までたってもそのような夢の未来社会は訪れず、
ピーター・ドラッカーは「断絶はまだ始まったばかり」1999と言い、
林雄二郎は、もはや「脱情報化社会」だと言い出した。
それでも夢の未来社会は見えないばかりか世界経済に翳りが見え出す。
とうとう、堺屋太一は「知価革命」1985、
ピーター・ドラッカーは「知識革命」2002と革命を持出し、そして、
国際政治学者のサミュエル・ハンチントンは「文明の衝突」1996と、
進化生物学者のジャレッド・ダイヤモンドは「文明崩壊」2005と言う。
ローマクラブのヨルゲン・ランダースは「成長の限界」を指摘したけれど(1972)、
すでに「成長の限界を超えて」いると嘆き(1992)、さらに「40年後2052年」の
地球社会滅亡を予測する(2012)。ついに国際戦略室の水野和男は
「資本主義の終焉」(2014)とこの世のクライシスかのように言いだして、
21世紀の世界的低成長化と共についに夢ある未来は見えなくなってしまった。

夢の脱工業化社会を見失い、高度成長が行着く先の地球的危機と
低成長がもたらす資本主義と民主主義の危機が迫るなか、
日本未来学会はいま暗黒のかなたに一筋の光明を見出した(2014.11)。
それが日本平成文化社会である。


2、なぜ幸福感が得られないのか?
我々は何のために働いてきたか?我々エンジニアは便利な機械を作って
人々を長時間労働から解放し生活を楽にして豊かな生活を得るために働いたのでした。
その結果、電気工学が創った洗濯機、掃除機、冷蔵庫、電子レンジ等は家事を
ほとんどゼロにしたし、新幹線、パソコン、携帯電話等はビジネスを大幅に効率化しました。
今思えば、我々が作った電子機器は時間を産み出す道具であったと言えます。
明らかに時間は浮いたはずなのに豊かな生活が得られたでしょうか?
問題は浮いた時間を何に使ったか?そう、浮いた時間でさらに働いたのです。
ますます時間は浮いたはずです。「富とは欲望を満たすすべてのもの」(トフラー)だから、
お金や宝石と同じく時間も富です。我々は膨大な時間=富を生み出したはずです。
それなのに幸福感に乏しいのはなぜか?

それは、富を消費して欲望を満たして始めて幸せ感が得られるものです。それなのに、
我々は小判を貯めるように時間を溜め込むばかりで消費していないからではないでしょうか?
小判は溜め込むだけで見ばえがするし実感があって所有欲が満たされるけれど、
時間は溜め込むだけでは何も見えなく実感がなくて欲望は満たされないのです。
では一体どこに時間は溜まっているのでしょう。それは家庭や社会インフラに溜まっているのです。
便利な家電製品でいっぱいの家庭や社会インフラの整った現代ではつい50年前と較べてみても
圧倒的に短時間で作業は終わります。何時でも取りだせる膨大な時間が溜まっているはずです。
溜まった時間を消費して欲望を満たせば幸福感が得られるはずです。
これこそ幸福感が実感できる時間消費型社会なのです。


3、時間消費型成長産業とは?
まず、ヒマな人に時間を使わせて欲望を満たしてあげるビジネスがあると思いませんか?
次に、忙しいと言っている人が時間をさいて欲望を満たしたくなるビジネスがあると思いませんか?
そして、仕事も何もほおり出して夢中にさせるビジネスがあると思いませんか?
そんなビジネスは成長すると思いませんか?
そうするとみんなハッピーになれると思いませんか?
これが未来の時間消費型成長産業です。すでにその予兆はあります。
・パチンコ、娯楽産業も時間消費型ですがこれらは単にヒマつぶしとも言えぬ。
・スマホ、どんなに忙しいビジネスマンも寸暇を惜しんでスマホをいじっている。
 あれはもはや電話機ではありません。時間消費の道具です。
・ライン、用事もないのに電話させておしゃべりで時間を消費させる手段。
・アマゾン、本屋へ行って本を探す時間が浮くし、届いた本を読むのにまた時間を消費する。
・ある種の研究者は寝食を忘れて研究している、なぜか?
 結果的にせよ時間を消費して楽しいからでしょう。こんな人の勤務時間を制限する代わりに
 研究者を増やして楽しみを分けてあげるべきです。
いずれも時間消費型成長産業のはしりとして今注目産業です。

いやいやまだまだこれらは仕事の妨げになるところまで行っていませんね。
仕事そっちのけで没頭することになる究極の時間消費こそ本当の時間消費型高度成長産業です。
それでこそ労働時間の短縮が進みワークシェアで雇用問題も解決されます。
そうすると、午前中の勤務時間は10時から12時まで、12時から14時まで昼食、
14時から16時まで仕事して16時には退社し、夕食は家族団欒、独身者はパートナーとお食事、
(ヨーロッパが一時この方向に向いましたが頓挫)。我々も時間を溜めたお陰で、
家事はほとんどゼロで通勤時間もラクラクです。これならみんなハッピーで少子化対策にもなるでしょう。


4、時短こそ未来社会への入口
経済成長に限界が見え、資本主義の存続さえ危惧される今日、資本主義を救うのは
時短がキーだと思います。
資本主義経済を制御できるパラメータは金利、通貨量、各種規制など少ないなかで
労働時間は設定可能なパラメータであることが忘れられている。労働時間は8時間と
昔から決まっていると思いがちですが、賃金などは資本主義経済のなかで自動的に決まる
従属変数なのに対して、労働時間は独立変数であり誰かが独自に決められるものです。
今これを例えば半分の4時間にしてはどうでしょう。会社は2交代でやればいいので困らない。
求人は2倍になり失業はなくなる。そうすると労働者の収入は半分になりますがそれでもいいでしょう。
昔は住宅の購入が人生の最大の買い物でしたが、いまは子供が二人以下だから親の家が
有り余っているので住宅を買う必要がない。外国製の日用品や便利な機械は物凄く安い、
さらに共働きだから個人の収入は半分でも充分いやさらに半分でもいいのではないでしょうか?
ビルトッテン氏は「週休4日年収6割」と言っていますが、私は「一日4時間労働、給料半分」でも
いいと思います。どうしても働きたい人は掛け持ちでアルバイトすればいいでしょう。

我々は生活を楽にするために働いて便利な機械を創りました。今はもう便利な機械が充分
行き渡ったので便利な機械を使うことにより4時間は何時でも取りだせる、我々が溜め込んだ時間です。
この時間を労働に使ってしまうから生産が過剰になってしまうのです。
この時間は本来我々が楽して豊かに暮らす、すなわち文化的生活をするために消費すべき時間なのです。


V、真の脱工業化社会 へ続く